日常的にも耳にしていて、手軽に購入できるようになった「クラフトビール」。
ここ数年でクラフトビールの需要は右肩上がりを続けています。
身近に感じなかった頃と比べて、コンビニやスーパー、飲食店での取り扱い数はもはや無数....
- 「結局クラフトビールって地ビールと何が違うの?」
- 「自分好みのテイストを探してるけど、選ぶ基準ってあるの?」
そんな悩みを持っている方に向けて、今回は初心者でも分かりやすく「クラフトビールの種類や特徴」についてまとめてみました。
クラフトビールの特徴とは
「クラフトビール」の起源は1970年代のアメリカで、アメリカのBrewers Association(BA)という協会が、クラフトブルワリーの定義としてまとめたものです。
そして、クラフトビール(craft beer)という言葉自体も、アメリカで誕生しました。
定義としては、以下3つの条件を満たしたブルワリーで造られたビールを指します。
- 醸造所が小規模であること
- 独立していること
- 伝統的な原料や製法でつくっていること
3つの条件の他に「クラフトビール」についてキッパリとした定義はありません。
日本では小規模ブルワリーが数多くあるけれど、「クラフトビールではなく地ビール」と信念をもっているブルワリーも少なくないです。
何をもってクラフトビールト呼ぶのか?ブルワリーだけでなく、消費者の方でも「これはクラフトビールなの?」って疑問に感じるビールも多いはず...
さらに最近では、大手ビールメーカーも参入し、規模や地域性、原料や製法だけでは定義づけるのが難しくなってきています。
ビールを愛する皆さんは難しく考えすぎず、様々なテイストや味わいを心から楽しんでください!
「地ビール」と「クラフトビール」の違い
そもそも小規模からビール造りが可能となった、1994年の酒税法改正のことは「地ビール解禁」と呼ばれています。
各地域でつくられる日本酒のことを「地酒」と呼ぶような感覚で、その土地、地域でつくるビールのことを「地ビール」と呼んでいました。
その中時代の変化と共に、様々な種類のビールが生まれていき、「地ビール」を「クラフトビール」と呼称することが増えていきました。
そして今では「地ビール」=「クラフトビール」というイメージで捉える方が多くなっています。
だけど、ブルワリーと消費者では呼称について意見が分かれます。「地ビール」として、今もこだわりを持ってつくり続けている醸造所もあり、一概に地ビールとクラフトビールを線引きするのは難しい。
クラフトビールの定義と同様に、「地ビール」と「クラフトビール」にも線引きされた定義は決められていないので、、ブルワリーごとのコンセプトに沿って、深く考えすぎず楽しんでみてくださいね。
クラフトビールの原料
クラフトビールの主な原料は、ビールの原料と同じで「麦芽」「ホップ」「水」「酵母」の4つです。
原料には様々な産地や種類があり、どれを使うかで味わいが大きく変わります。
そしてビアスタイルによっては、この4つの原料に「副原料」が加わります。
日本のクラフトビールは、副原料に地元の食材や果物が使われていることが多く、その土地ならではの味や特徴を楽しむことができます。
クラフトビールの種類
クラフトビールは原材料や製法、味わいや色などで分類され「○○スタイル」と呼ばれています。
例えば、「ピルスナー」や「スタウト」など様々なテイストがあり、現在では100種類以上あると言われています。
そして、このスタイルのほとんどが「下面発酵(ラガー)」と「上面発酵(エール)」の2種類に分けられています。
下面発酵(ラガー)の種類
下面発酵でつくられるラガー系のビールは「キレとのどごしを味わうビール」と覚えるといいでしょう。
ラガービールにも様々な種類がありますが、世界中で愛されているスタイルの一つが「ピルスナー」。
19世紀中ごろにチェコで誕生した、淡い黄金色の爽やかな味わいのビールです。日本の大手ビールメーカーが販売しているビールのほとんどが「ピルスナー」と言って相違ない。
その他のスタイルとしては「シュバルツ」や「アメリカンラガー」「ドッペルボック」などがあります。
上面発酵(エール)の種類
上面発酵でつくられるエール系のビールは、「香りやコク、甘味を味わうビール」と覚えるといいでしょう。
そもそもエールビールとは、古代から伝わるビールのつくり方で、ワインのような香りと味わいを楽しむビールと言われています。
ラガー系よりもエール系の方がスタイルが様々あって、「IPA(アイピーエー)=正式名称 India Pale Ale(インディア・ペールエール)」「ペールエール」「ヴァイツェン」「スタウト」などがあります。
おすすめのクラフトビール
ピルスナー(Pilsner)
ピルスナーとは、1842年にチェコのピルゼン地方を発祥とするラガー(下面発酵)ビールです。
大量生産に向くことから世界各国で数多くつくられ、約7割を占めています。そして日本で流通しているビールの約99%がこのピルスナーに分類されます。
飲みやすくクセのないスッキリとした味わいは、万人受けするテイストです。
ピルスナーのおすすめ(人気)クラフトビール
ハイネケン(Heineken)
箕面ビール「ピルスナー」(大阪府)
TANGO KINGDOM Beer「ピルスナー」(京都府)
ペールエール(PaleAle)
ペールエールとは、イギリス発祥のビアスタイルでホップやモルトの豊かな香りが特徴です。
そしてイギリス発祥の後にアメリカに渡り、柑橘系のホップの香りが華やかに感じられる「アメリカン・ペールエール」が考案され、世界中に人気が広がりました。
「クラフトビール初心者」という方におすすめしたいスタイルで、苦みが控えめで飲みやすく、食事にも合わせやすいです。
ペールエールのおすすめ(人気)クラフトビール
ヤッホーブルーイング「よなよなエール」(長野県)
オラホビール 「キャプテンクロウ エクストラペールエール」(長野県)
志賀高原ビール「ペールエール」(長野県)
インディアペールエール(IPA/アイピーエー)
インディアペールエールとは、一般的に「IPA/アイピーエー]と呼ばれることが多い。
18世紀末、イギリスの植民地だったインドにペールエールを送るため、防腐剤の役割を持つホップを大量に投入してつくられた苦味の強いビールです。
ホップの香りや苦みが強烈で、一般的なビールと比べるとアルコール度数も5.5%~7.5%と高いのが特徴。ビール好きがドハマりする!世界中で愛されているビアスタイルの一つです。
インディアペールエールのおすすめ(人気)クラフトビール
ヤッホーブルーイング「インドの青鬼」(長野県)
エチゴビール 「FLYING IPA」(新潟県)
箕面ビール「 W-IPA」(大阪府)
ポーター(Porter)
ポーターとは、1722年にイギリスのロンドンで生まれたといわれているビアスタイルです。
「スタウト」「シュバルツ」「デュンケル」などと呼ばれている黒ビールの1種で、焙煎したモルトの香りと濃い色合いが特徴です。
香ばしい香りや濃厚な味わいから、両極端に好みが分かれる味わいですが、1度ハマると抜けられない!クセになるテイストです。
ポーターのおすすめ(人気)クラフトビール
ベアードビール「黒船ポーター」(静岡県)
スワンレイクビール「ポーター」(長野県)
ヤッホーブルーイング「東京ブラック」(長野県)
スタウト(Stout)
スタウトとは、ロンドンのパブで考案された「ポーター」というスタイルの改良版と呼ばれています。
考案者はアイルランドのギネスビール創業者、アーサー・ギネス氏。ロースト麦芽によるコーヒーのような香りと苦味が特徴の黒ビール。
ポーター同様に一癖ある味わいですが、1度ハマると抜けられない!クセになるテイストです。
スタウトのおすすめ(人気)クラフトビール
ギネス(GUINNRSS)「ドラフトギネス」
箕面ビール「スタウト」(大阪府)
サンクトガーレン「スイートバニラスタウト」(神奈川県)
ヴァイツェン(Weizen)
ヴァイツェンとは、南ドイツ発祥の小麦麦芽を使ったドイツの伝統的な白ビール。
小麦麦芽を50%以上使い、バナナのようなフルーティーな香りと苦みをほとんど感じない柔らかな味わいが特徴です。
酵母入りのヴァイツェンは、グラスに半分注いだ後、缶や瓶を軽く振って酵母を混ぜ、残りをゆっくり注ぐと、より濃厚で深い味わいが楽しめます。
ヴァイツェンのおすすめ(人気)クラフトビール
銀河高原ビール 「小麦のビール」(長野県)
富士桜高原麦酒 「ヴァイツェン」(山梨県)
エチゴビール 「のんびりふんわり白ビール」(新潟県)
ベルジャンホワイト(Belgian White)
ベルジャンホワイトとは、ベルギーのヒューガルデン村で14世紀から醸造されていた伝統的な白ビールです。
コリアンダーとオレンジピールを副原料として用いていて、スパイシーで華やかな香りとフルーティな酸味が特徴的。
白ビールの仲間の「ヴァイツェン」と異なる点は、麦芽にしない小麦と大麦麦芽の両方を使用してつくること。滑らかな口当たりで、苦味も少なく女性でも飲みやすいビールです。
ベルジャンホワイトのおすすめ(人気)クラフトビール
ヒューガルデン(Hoegaarden) 「ヒューガルデンホワイト」
ヤッホーブルーイング「水曜日のネコ」(長野県)
サッポロビール「ホワイトベルグ」
セゾン(Saison)
セゾンとは、ベルギー南部発祥のエールビールです。
ホップの苦みは抑えており、フルーティーかつ酸味が少し効いた混然一体となった味わいが特徴。
現在は様々な解釈でブルワリーごとで、多種多様なセゾンビールがつくられています。
セゾンのおすすめ(人気)クラフトビール
志賀高原ビール「 Miyama Blonde(ミヤマブロンド)」(長野県)
ヤッホーブルーイング「僕ビール君ビール」(長野県)
常陸野ネストビール「セゾン・ドゥ・ジャポン」(茨城県)
まとめ
初心者でも分かるようにクラフトビールの種類や特徴について紹介してきましたが、クラフトビールの奥深さを少しは知っていただけたでしょうか。
本記事で紹介しきれなかったことも多いですが、この記事をみれば「結局クラフトビールって地ビールと何が違うの?」「自分好みのテイストを探してるけど、選ぶ基準ってあるの?」などで悩んでいる方の解決につながると思います。
種類が多すぎて何を飲んでいいか分からないという方も、まずは1本!
直観でクラフトビール選んで飲んでみると、今までみたことない世界に触れることができるかもしれないですよ。